成年後見制度は、上手に活用すればご家族の財産を守り相続をスムーズにする制度で、法定後見制度と任意後見制度の2つに分かれています。その内、法定後見制度は「後見」・「保佐」・「補助」の3つの種類があり、成年被後見人の精神上の状態によって区別されています。
認知症や精神障がいを患うご本人様と、そのご家族様を法的に支援する制度ですが、利用するにあたり、成年被後見人の権利や資格に制限がなされるため、慎重にご検討ください。

 

選挙権及び被選挙権

選挙で投票する事のできる“選挙権”と選挙に立候補する事のできる“被選挙権”は、「後見」の職務が始まった時に失格します。ただし、選挙権の失格については議論があり全国の判例を見ると後見制度の利用による選挙権の失格を違法とする判例もあります。

 

印鑑登録の抹消

土地や建物など金額の大きな売買契約における、実印の効力を失います。契約していても、本人が単独で行っていたのであれば、成年後見人がその契約を解除できます。実印と印鑑証明書がさえあればあらゆる契約が可能なため、判断能力が衰えてきた方、特にご高齢の方を狙った詐欺も度々問題になっています。被後見人の印鑑登録抹消後は後見人の方の実印が必要になります。

 

その他の地位

その他、被後見人に課せられる資格制限として、地位を失う職業もあります。

資格が制限される職業一覧

会社の役員・合名会社の社員
医師・医療法人の役員・弁護士・司法書士・行政書士・税理士・歯科医師国家資格の受験資格
国家公務員・校長または教頭・自衛隊の隊員・中央選挙管理委員会の委員
社会福祉士・介護福祉士
質屋営業の許可・高圧ガスや火薬類の製造・販売許可・武器製造許可・薬局開設の許可

 

成年後見制度による「後見」・「保佐」が始まると、被後見人の方はこれらの地位を失います。例外として「補助」の場合は地位を失いません。